債券の利回りとは?価格が下がると利回りが上がる理由を金利の動きから解説
証券会社で営業をしていた頃、僕はお客さまに「説明が難しい」と言われたことがあります。今振り返ると、債券の利回りはそう言われやすい話題の代表だと思います。「利率」と「利回り」という似た言葉が並ぶからです。
この記事では、よくある誤解から入り、価格との関係を順番にほどいていきます。
利回りって、表面利率のことじゃないの?
いちばん多い誤解は「利回り=表面利率」という思い込みです。表面利率は、額面に対して毎年もらえる利子の割合のこと。クーポンレートとも呼ばれます。
財務省の説明では、表面利率は発行時に決まり、償還まで変わりません。一方の利回りは、買った価格によって変わります。この二つは別の数字です。
では、利回りは何で決まるの?
ざっくり言うと、利回りは「1年あたりどれだけ増えたか」をパーセントで表したものです。中身は二つあります。
- 表面利率による利子収入
- 満期に戻る額面(途中で売るなら売却価格)と、買った価格との差額
財務省のFAQでは、国債の利回りは「購入価格」「表面利率」「償還期間」の3つで決まるとされています。このうち購入価格は時価です。相場によって動くので、それに応じて利回りも動きます。
価格が変わると、利回りはどう変わるの?
具体的な試算で見てみましょう。残存10年、額面100円、表面利率1.5%の国債です。毎年の利子は1.5円で、これはどの価格で買っても同じです。
| 購入価格 | 利回り |
|---|---|
| 90円 | 2.77% |
| 100円 | 1.5% |
| 110円 | 0.45% |
出典:OANDA証券「債券価格と利回りが反対に動く原因とは?」
90円で買えば、満期に100円が戻るので10円の差益が加わります。110円で買えば、戻るのは100円なので10円目減りします。だから、価格が安いほど利回りは高く、価格が高いほど利回りは低くなります。
金利が上がると、持っている債券はどうなるの?
例えるなら、債券価格と金利は公園のシーソーです。「投資の時間」(金融経済教育推進機構)でも、この二つを「シーソーの関係」と説明しています。

市場金利が上がると、新しく出る債券の利率も高くなります。すると、低い利率のまま決まっている既発債は見劣りします。買い手が減って価格が下がり、その結果、利回りは上がります。金利が下がるときは逆です。既発債の価格が上がり、利回りは下がります。
ニュースで「長期金利が上昇」と聞いたら、「すでに出回っている債券の価格は下がる方向」と読み替えられます。たとえばFRED(FRBのデータを掲載)で2026年9月11日に公表されたデータでは、9月10日時点の米10年国債利回りは4.95%でした。
利回りの数字を見るとき、どこに気をつけるの?
注意点は三つあります。
- 同じ債券でも、買う時期で価格が違えば利回りも違います。
- 満期前に売ると、差額は額面ではなく売却価格で決まります。金利が上がった後だと、買った価格より安くなることがあります。
- 表面利率が高い債券でも、高い価格で買えば利回りは低くなります。
表面利率の数字だけで判断せず、いくらで買うのか、いつまで持つのかをあわせて見ると、数字の意味がつかみやすくなります。
結局、シーソーでどう覚えればいい?
最後に、もう一度シーソーを思い浮かべてください。片側に「債券価格」、反対側に「金利と利回り」が座っています。市場金利が上がって新しい債券が魅力的になると、価格の側が沈み、利回りの側が持ち上がります。
どちらか一方の動きが見えたら、もう一方は反対側にある。この形を頭に置いておくと、金利のニュースも少し読みやすくなると僕は思います。