投資家の注文が証券会社から取引所の板へ流れ、配当が株主に戻る流れと、元本割れのリスクを表した青とミントの平面イラスト

株式投資の初心者が始める前に知っておきたい基本|株価・配当・リスクをQ&Aで整理

「株主」。これ、あなたは説明できますか?

「株を持っている人」と答えた方、半分は正解です。でも、株主になると何ができて、何を引き受けるのか。そこまで話そうとすると、意外と言葉に詰まります。

僕も偉そうなことは言えません。証券会社の営業になったばかりの頃、お客さまに信用取引の仕組みを聞かれて説明しきれず、先輩に代わってもらったことがあります。あのときの悔しさが、今こうして「かみくだいて書く」原点です。

今日は、株式投資を始める前によく出てくる疑問を3つ、Q&A形式で整理します。最後に「株主」の答えもまとめます。

Q1. 株価はどうやって決まるの?

A. 売りたい人と買いたい人の注文が合ったところで決まります。

ざっくり言うと、株価は「取引が成立した値段」です。あなたが証券会社で出した注文は、証券取引所に送られます。注文は銘柄ごとに「板(いた)」と呼ばれる一覧に集められます。条件が合った注文どうしで売買が成立することを「約定(やくじょう)」と言います。この流れは東証マネ部!(日本取引所グループ運営)の解説に図入りでまとまっています。

東京証券取引所での値段の決め方は2種類あります。

  • 板寄せ方式:取引の始まりや終わりなどに使われます。集まった注文の中から、売りと買いが合う値段を一つに決めます。始値と終値はこの方式です。
  • ザラバ方式:それ以外の取引時間中の方式です。「価格優先」と「時間優先」のルールで、条件が合った注文から順に約定します。

日本取引所グループの売買のルールの説明でも、この2つが紹介されています。

板のイメージ(数字は僕が作った仮の例です)
売り注文 値段 買い注文
300株 1,020円
200株 1,010円
1,000円 100株
990円 400株

たとえるなら、フリマの値札と「この値段なら買います」のメモが並んだ掲示板です。この状態では、1,010円で売りたい人と1,000円で買いたい人の間に差があります。なので、まだ取引は成立しません。

ここに「1,010円で買いたい」という注文が来ると、いちばん安い1,010円の売り注文と合って約定します。安い売り注文から先に約定する。これが価格優先のイメージです。

Q2. 配当はどうすればもらえるの?

A. 決められた日に株を持っていれば、受け取れる可能性があります。ただし、約束されたお金ではありません。

配当金とは、会社が稼いだ利益の一部を株主に分けるお金です。株を持っているだけで入ってくる可能性があるので「インカムゲイン」とも呼ばれます。東証マネ部!の配当金の解説をもとに、押さえておきたい点を3つに絞ります。

  • 「権利付き最終日」に株を持っていることが条件
  • 支払いは年1回か2回が一般的
  • 業績や会社の判断で、減ったり支払われなかったり(無配)することがある

冒頭の「株主」の答え

配当を受け取る権利は、株主が持つ権利の一つです。man@bow(野村ホールディングス・日本経済新聞社 共同運営)の解説では、会社法にもとづく株主の権利として次の3つが挙げられています。

  • 配当請求権:会社が利益を出したとき、持ち株数に応じて利益の一部を受け取る権利
  • 議決権:株主総会で議案に賛成・反対を示す権利
  • 残余財産分配請求権:会社が解散したとき、残った財産の一部を受け取る権利

一方で、出したお金が返ってくる保証はありません。配当も業績しだいで受け取れないことがあります。

つまり株主とは「会社の持ち主の一人として、権利と一緒にリスクも引き受ける人」です。これが冒頭の問いへの僕の答えです。

Q3. 株のリスクって、どれくらいあるの?

A. 元本割れのおそれがあります。そして、その見え方は持つ期間によって変わります。

配当を果実にたとえたイメージ

元本割れとは、投資したお金より価値が減ってしまうことです。金融庁のNISA特設ウェブサイトでは、株式や投資信託は預貯金より高いリターンが期待できる一方で、元本割れのおそれもあると説明されています。同じページの比較表では、次のような傾向が示されています。

預貯金と株式の傾向
商品 安全性 収益性
預貯金 高い 低い
株式 低い 高い

高いリターンを期待できることと、減るおそれがあること。この2つは表と裏の関係です。

持つ期間で見え方が変わる

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の説明では、国内外の株式と債券の4つに100万円を25%ずつ分けて投資した場合を、過去のデータで試算しています。

その結果、1年だけ持った場合は、元本の100万円を下回った年が複数ありました。一方、10年持った場合は、元本を割り込んだことはなかったそうです。良い年と悪い年の成果が打ち消し合い、全体では収益が積み上がっていく、という説明です。

ただし、これは過去の実績で、将来の成果を約束するものではありません。また、株式だけでなく債券も組み合わせた試算である点も押さえておいてください。

僕が2020年3月にやってしまったこと

頭で分かっていても、実際に値下がりすると心は揺れます。僕は2020年3月に怖くなって売り、結果的に底値で手放してしまいました。慌てて売ってしまうこうした行動は「狼狽売り(ろうばいうり)」と呼ばれます。

今振り返ると、リスクを知らなかったというより、自分がどこまでの値下がりなら落ち着いて持てるかを考えていなかったのだと思います。どのくらいの期間、どのくらいの金額なら平気でいられるか。そこは、あなた自身の感覚で考えてみてください。

今日のおさらい

  • 株価:注文が板に集まり、条件が合うと約定する。決め方は板寄せ方式とザラバ方式の2種類。
  • 配当:利益の一部を株主に分けるお金。権利付き最終日に持っていることが条件で、減ったり支払われなかったりすることもある。
  • リスク:元本割れのおそれがある。過去の試算では、1年保有だと元本割れの年が複数あり、10年保有では割り込んだことはなかった。ただし将来の保証ではない。

そして「株主」とは、権利とリスクをセットで持つ人のことでした。

分からないところがあれば、遠慮なく質問してくださいね。