一通の封筒と、複数の封筒をまとめて入れたかごを並べた机の上

債券投資信託とは?個別の債券を買う場合との違いと仕組みを初心者向けに解説

「債券投資信託」。この言葉、あなたは人に説明できますか。僕は証券会社の営業をしていたころ、お客さまに「説明が難しい」と言われたことがあります。債券と投資信託という二つの言葉がくっついているので、どちらの性質で考えればいいのか迷いやすいのです。

今日はこの言葉を、よく見かける誤解からほどいていきます。

「満期まで持てば元本が戻る」と思っていませんか?

まず、ありがちな受け取り方から。「債券の投資信託なのだから、持ち続けていれば満期に元本が戻ってくるはず」というものです。ここが、実際の仕組みとずれています。

個別の債券には、通常は満期と償還額が決められています。日本証券業協会の説明では、社債は原則として満期まで保有すれば元金が返り、倒産などがその例外にあたるとされています。一方、日本FP協会の記事では、一般的な債券ファンドには原則として満期がなく、債券を入れ替えながら運用すると説明されています。

個別の債券も、満期前に手放せば話が変わります。日本証券業協会の説明では、満期まで持たずに途中で換金する場合は時価で売却するため、値下がりによる損失が生じることもあるとされています。「個別債券だから安全」というより、満期まで持ち続けるかどうかで条件が変わると考えたほうが近いかもしれません。

つまりファンド自体には、「この日に元本が返る」という約束の日がありません。売るときの値段次第で、投資した元本を下回ることもあります。満期を設けたファンドもありますが、それは一部です。

では、本当はどういう仕組みなの?

ざっくり言うと、債券投資信託は「たくさんの人のお金をまとめて、主に債券へ投資する箱」です。あなたが債券を直接買うのではなく、箱を通して複数の債券を持つ形になります。

箱の中では、役割がきれいに分かれています。

債券投資信託の登場人物と役割
登場人物 役割
投資家(あなた) 資金を出し、運用の成果を受け取る
運用会社 投資方針を決め、運用を指図する
信託銀行等 ファンドの資産を管理する
組入債券 利子などの収入を生み、時価が動く

あなたが直接、個々の債券の発行体とやり取りするわけではありません。投資家はファンドを通じて債券に投資し、運用会社が運用方針を決めて運用を指図し、信託銀行等が資産を管理します。役割がそれぞれ分かれている仕組みです。

この箱の値段が「基準価額」です。組入資産の時価評価額に利子などの収入を加え、信託報酬などの費用を差し引いた純資産総額を、口数で割って計算されます。買うときも換金するときも、この基準価額が使われます。

出典:信託協会「投資信託」、資産運用業協会「投資信託の基礎知識」

お弁当にたとえると、どんな買い方?

個別の債券を一本だけ買うのは、おかずを一品だけ選ぶ買い方に近いと僕は思っています。債券投資信託は、何種類ものおかずが入った詰め合わせを一つ買う感覚です。少額の資金をまとめて複数の債券に分けられるので、特定の投資先に問題が起きたときの影響をやわらげやすくなります。

仮の話として、債券Aと債券Bを組み合わせたファンドを思い浮かべてください。片方の発行体の信用状況が悪くなっても、それがファンド全体にどれだけ響くかは、組入割合などによって変わります。おかずが一品しかないお弁当と、何品も入ったお弁当の違いですね。

どの債券をどれだけ組み入れるかによって、特定の発行体の信用悪化がファンド全体に及ぼす影響は変わります。お弁当も、おかずの品数だけでなく、どれが多めに入っているかで味の印象が変わりますよね。

注意しておきたいのは、どこ?

詰め合わせになっていても、元本が保証されるわけではありません。一般に金利が上がると債券の価格は下がり、それが基準価額を押し下げる要因になります。価格と金利が逆に動く理由は、債券の利回りと価格の関係を整理した記事でも扱っています。

そのほか、発行体の信用状況が悪化した場合も、価格が下がる要因になります。満期までの期間が長い債券ほど、金利変動の影響を受けやすいともされています。外貨建ての債券を含むファンドであれば、為替の動きも基準価額に関わってきます。資産運用業協会の説明でも、こうした変動要因が挙げられています。

費用はどこで引かれているの?

信託報酬などの運用管理費用は、さきほどの基準価額の計算の中で差し引かれています。請求書が届くわけではないので、気づきにくいところです。

費用の水準も、どんな債券を組み入れるかも、ファンドごとに違います。購入前に費用やリスクを確認しておく必要があります。

もう一度、お弁当の話に戻ると

詰め合わせのお弁当を選ぶとき、あなたは箱の名前ではなく、中身と値段を見ますよね。債券投資信託も同じだと僕は考えています。「いつ元本が返る箱なのか」ではなく、「何が入っていて、どれだけ費用がかかる箱なのか」。その順番で見ていくと、この言葉はだいぶ説明しやすくなるはずです。

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