株価大暴落はなぜ起きる?連鎖的な売りを三つの用語から初心者向けに解説
営業をしていた新人のころ、相場が下がった日にお客さまから電話で「追証はどうなりますか」と聞かれたことがあります。僕は信用取引の仕組みをうまく説明できず、先輩に代わってもらいました。あのとき分かっていなかったのは、値段の下落と、投資家が売らざるを得なくなる事情が、つながっているということでした。
今回は株価大暴落が起きるときに何が重なっているのかを、用語三つから順に見ていきます。
「株価大暴落」は、どんな状態を指す言葉?
ざっくり言うと、相場が短い期間に急激かつ大幅に下がる状態です。東海東京証券の用語集でも、暴落は「相場(株価)が急激に大きく下がること」と説明され、大量の売り注文が大幅な下落につながる旨が書かれています。
何%からを暴落と呼ぶか、という線引きはここでは置きません。数字で区切るより、何が重なって下がるのかを知るほうが役に立つと僕は考えています。
一つめ:売り注文と買い手が合わないと、どうなるの?
株価は、売りたい人と買いたい人の注文が結びついて決まります。この流れは株価が決まる仕組みを注文からたどった記事で整理しました。
売り注文の量が買い手の需要を大きく上回ると、より安い値段でしか注文が結びつきません。値段が下がると、それを見た投資家からさらに売りが出ることがあります。下落が次の売りを呼ぶ向きの圧力になりえます。
二つめ:証拠金請求は、なぜ売りを呼ぶの?
信用取引や先物では、お金や株を預けて、手元の資金より大きな取引をします。この預け金が証拠金です。価格が下がって不足すると、追加で差し入れるよう求められます。これが証拠金請求です。
資金を用意できない場合には、建玉の一部または全部が清算され、売り圧力が増すことがあります。本人が売りたいかどうかとは別に、売り注文が出るわけです。
三つめ:人の売りを見て売るのは、なぜ起きるの?
他の投資家の売りを見て自分も売る行動は、研究で群集行動と呼ばれます。損失への不安や現金を確保したい事情が重なると、売りが広がることがあります。
中国A株市場を分析した研究論文では、投資信託が同じ銘柄を重ねて持つこと、投資家の模倣、不安や流動性の必要による売却が、ある銘柄の下落を別の銘柄へ波及させうると整理されています。ただし特定の市場と時期の分析で、どの市場にもそのまま当てはまるとは限りません。
三つの言葉は、どこでつながるの?
順に並べると、こうなります。注文の偏りで値段が下がることがあります。下落によって証拠金が不足すれば、意思とは別の売りが加わる場合があります。さらに、その売りを見た人の不安が強まり、別の銘柄へ売りが波及することもあります。
一つの輪が次の輪を押す形です。暴落の原因が一つに絞れないことが多いのは、ここだと思います。
1987年10月19日には、何が起きたの?
ブラックマンデーと呼ばれる日です。Federal Reserve Historyの解説では、ダウ工業株30種平均が1日で22.6%(508ポイント)下落し、売り注文が買い手を大きく上回ったことが寄与要因に挙げられています。
米連邦準備制度理事会の研究論文では、証拠金請求が平均の約10倍の規模となり流動性が低下したと整理されています。自動的な売り戦略も一因とされますが、それだけが原因とは断定されていません。
一日の下落に、上限はあるの?
日本の現物株には1日に動ける幅の上限があります。日本取引所グループの説明(2026年10月19日更新)では、前日終値などを基準値段とし、価格水準に応じて制限値幅が決まります。基準値段が100円未満なら上下30円です。一定の条件で幅を広げる場合もあります。
| 項目 | 上下の値幅 |
|---|---|
| 通常 | 8 |
| 第一拡大 | 12 |
| 第二拡大 | 16 |
先物は別の制度です。日経225先物の制限値幅は通常上下8%で、中心限月が上限や下限に達するなどの場合に取引を10分間以上中断し、値幅を広げて再開します。
出典:日本取引所グループ「制限値幅、サーキット・ブレーカー制度」(2026年4月13日更新)
宿題を一つ、置いていきます
気が向いたらで構いません。気になっている銘柄の基準値段の水準を見て、今日の制限値幅がいくらかを確かめてみてください。上下どこまで動ける銘柄なのかが、数字で見えます。
やるかどうかはあなたが決めてください。用語を順番に押さえたい場合は、基礎知識を学ぶ順番をまとめた記事も使えます。